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[no.665] 2014年1月25日 日本美術院再興100年 特別展「世紀の日本画」(東京都美術館/1月25日~2月25日・前期)の開会式、特別内覧会、レセプションへ出席した・・・・・・。

この間の寒さが嘘のような穏やかな春の陽気の誘われて、上野にある東京都美術館へ出かけた。25日から始まる日本美術院再興100年を記念して企画された特別展「世紀の日本画」の開会式、内覧会、レセプションがおこなわれるからだ。今年になって2度招待状が来ていたが出席できなかったので、今回はという思いがあった。

何よりも近代日本画の歴史とも言っても良い本展は、明治31年(1898)に岡倉天心によって創立された日本美術院が大正元年に事実上休止状態になっていた同院を、天心の一周忌を期に、大正3年(1914)に再興したのだ。そこから今年でちょうど100年目となり、それを記念して、草創期から現在までの院展を彩った名作の数々を一堂に展示して、その歴史を振り返ろうと企画されたものである。

狩野芳崖、横山大観、菱田春草、小林古径、前田青邨、安田ゆき彦、奥村土牛、平山郁夫・・・・・・・など近代日本画の巨匠たちが名を連ねており、重要文化財6点をはじめ120点の名画が展示されている。、まさに名画でたどる、近代日本画・傑作選であった・・・・・・・・・。  後期は、3月1日~4月1日、同美術館で開催される。

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上野公園の一角にある東京都美術館へ行く道に咲いていた越前水仙・・・・・・・・。
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会場入口・・・・・・。この日の内覧会は何時になく人出が少なくゆったりと鑑賞できた・・・・・・。
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左から横山大観「遊刀有余地」,下村観山「白狐」、「天心岡倉先生画稿」を観る・・・・・・・。 写真研究会「風」のメンバーだった同美術館の職員Sさんと会いプレス用の腕章を借りて会場内を撮らせてもらった。その時にこれまた偶然にやはり、「風」のメンバーだったYさんとも会い、レセプション会場に行き久しぶりに話した。彼女はいま、「ギャラリー」という月刊誌を出している出版社に勤めているという・・・・・・・・。

SDIM3839-001.JPG都美術館の入口前の広場にあるオブジェを夕暮れのなかで撮った・・・・・・・。
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もう30年程前になるだろうか。子どもたちを連れて家族で上野公園に遊びに来たときに、この樹の前に人だかりができていた。行ってみると鳩の足に紐がかかってしまって樹に逆さにぶら下がっていてバタバタとしていた。何とか助けてやりたいと人々は心配して成り行きを見守っていたのだ。誰かが長い竹竿を見つけてきたが、それを使ってわずかばかりの長さの紐をうまく切ることができるか、みな不安で尻込みしている。鳩を間違って叩けば死んでしまうからだ・・・・・・・・。

その時に僕がやってみるよと買って出た。そんなに自信があったわけではないが、剣道三段で毎日木刀で素振りをしてきていたし、紐の長さが30センチ程あったので、何とかなるだろうと思った。しかしチャンスは1回限りだ。失敗すれば鳩への負担が多くなる。竹竿も重かった。 呼吸を整えて「いや~」と気合とともに竹竿を振り下ろすとみごとに紐が切れ、鳩が大空に舞った・・・・・・・。 「やったー」という歓声と拍手が沸き起こったのだ。子どもたちもちょつぴりと誇らしい顔で僕を見つめた・・・・・・・。妻も「あんた、なかなかやるわね~」と言ったのだ。僕も子どもたちに少しばかり親父としてカッコ良いところが見せられてうれしかった・・・・・・。

そんな遥か昔のことを思い出しながら、夕闇のなかの裸樹に向かってシャッターを切ったのである・・・・・。

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