写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.183] 2010年7月15日 「子龍墓」、「金沙遺跡博物館」、「劉備墓」、「武候伺」、チベット舞踊、四川大地震震源地、チャン族の村、そして「川劇」を観た・・・。

今回の旅は、うまく飛行機便の手配が取れて、出発は羽田空港13時50分。北京経由で成都に21時45分に到着予定である。12時に集合だが、家を8時30分には出た。近くのバスターミナル9時出発、羽田には10時半には着いてしまった。珈琲を飲みながらゆっくりと読書をしてみんなが到着するのを待った。今回の旅の参加者は、僕とガイド役の烏里君をふくめて総勢11人。その内訳は昨日のブログに書いた通りで、個性豊かな愉快な仲間が集うかたちとなった。成都は雨であったがほぼ、定刻に到着した。空港には、昨年5000キロメートルを一緒に走ったドライバーの何平君が、新車のマイクロバスで迎えに来てくれていた。僕の定宿となった武候詞前の「蜀峰花園酒店」にチェクインしたのは午後11時をまわっていた。希望者だけで近くの屋台街へ繰り出して遅い夕飯をとった。

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翌7月8日は、成都郊外約50キロメートル程行った大邑県にある三国時代の蜀の名武将・超雲こと「子龍墓」を訪ねた。清代に建てられた碑は、無残にも二つに割れて夏草のなかに放置されていた。あたりは工事の真っ最中で、今度、子龍廟を建設して観光客を誘致するのだという。この手の計画は中国全土で見てきたので、正直へきへきした。金儲けの前に、きちんと三国遺跡は遺跡として守って欲しいと切に思う。大邑県の町で昼食を食べてから3000年前の古蜀王都の遺跡、「金沙遺跡博物館」を見学した。長江上流域に、三星堆文明とともにこうした古代文明があったと思うとロマンが湧いてくる。市内に戻って、劉備の墓と武候詞を巡った。矢島保治郎が1909(明治42)年に寄宿していた当時、文廟街と呼ばれていた場所を探し、矢島仲子さんに佇んでもらった。「101年前に父がこの場所で暮らしていたかと思うと感無量です・・・・・」と仲子さんは言葉少なく語った

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3日目は、アパチベット族・キョウ族自治州理県にあるキョウ族の桃坪村を訪ねる。成都からは往復330キロメートルはある標高1650メートルほどある山岳地帯だ。この付近は2008年に発生した四川大地震の震源地となった地域で、途中通ったブン川もふくめて地震の痕がまだ生なましく残っていた。しかし復興の槌音はいたるところで鳴り響き、明るい町並みが出来上がりつつあった。復興されて開店していた豆腐料理の店で、昼食をとった。ここら当りは豆腐料理が名物だというだけあってどれもが旨かった。桃坪村で56代続く楊さんに村の案内をしてもらった。チョウ楼という石で積み上げた高い建物が村にいくつもあり、圧巻だった。敵への見張りや戦のときの籠城、食物の備蓄などに使われたという。石の家々の中には、川が流れており、家の中も村全体の道も迷路のようにつくられていた。僕が20年間通ったヒマラヤの村々の作りと同じなのに驚いた。キョウ族の神々は、白い石。家の屋上など至る所に、まるで村人たちを見守るように鎮座していた。この村人口は486人。地震の被害はどうだったのかと僕が聞くと楊さんは、「チョウ楼以外は、ご覧のとうり建物の倒壊はひどかった。しかし村人にひとりも犠牲者がでなかった・・・・」と言った。僕が「それは白い石の神々が村を守ってくれたのでしょうね」というと僕の手を握って「そのとうりです」とうれしそうに言った。

 

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書家の豊田育香さんが手書きの漢詩のTシャツを着ていたのを見た楊さんが「ぜひに家の扁額を揮毫して欲しい」という。豊田さんが大きな字は書けないから僕に書けという。小さめな字は彼女がかくことになった。村びとが注視のなか先ず僕が一気に書いた。もちろん僕は書はまったくの素人。小学校の低学年のときに習った覚えがあるだけだ。でも、この村に何かできたらと思って恥を承知でしたためたのである。もちろん豊田さんは、すらすらと美しい書体を書き連ねた。夜、成都に戻って200年以上の歴史をもっている劇団の「川劇」を緑深い公園のなかで茶を飲みながら観劇した。「京劇」とちがい庶民的な演目あり、会場は笑い声に包まれていた。みんなもとても楽しかったと喜んでくれた。明日からは、成都から約350キロメートル離れているロウ中へ行くので、屋台で軽い夕食を取って宿に引き上げた。

 

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