写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.166] 2010年5月30日 JPS展「プロフェショナルな世界」に出品。柴田秀一郎写真展、坪島土平作陶展を見た。そして土平さんの創作精神を学ぶ。


昨日、5月29日はいくつかの展覧会を見るために都内に出た。先ず最初に向かったのは恵比寿にある東京都写真美術館。ここで5月22日(土)~6月6日(日)まで第35回日本写真家協会展が開かれている。この展覧会に併設してJPS会員作品「プロフェショナルの世界」展を開催している。そこに僕も「遥かなるチリ」(モノクロ・5点)を出品しているのだ。僕の他に木之下晃、熊切圭介、桑原史成、管洋志、田沼武能、芳賀日出男、星野小麿さんらJPS会員50人がそれぞれ5点の組写真で250点、見ごたえのある作品を出品していた。この後、同展覧会は、愛知県美術館(7月6日~11日)、京都市美術館(7月27日~8月1日)、広島県立美術館(8月31日~9月5日)と巡回する。お近くの方はのぞいて観て下さい。



次に向かったのは、柴田秀一郎写真展「バス停留所ー47都道府県巡礼の旅編」である。目黒のギャラリーコスモスで今日までやっている。柴田君はサラリーマンをしながら写真創作活動をしているユニークな写真家である。20年以上前になるが現代写真研究所で、僕が特別講義を待っていた頃の生徒だった。2005年に「標ーバス停にて」で第11回酒田市土門拳文化賞・奨励賞を受賞してから、雑誌の連載など大活躍である。そして今回写真展と合わせて写真集『バス停留所』(リトルモア)を刊行した。彼の写真の師は、僕と写真学校が同期だった写真家・町田昭夫さんだという。一昨年の12月、まだ若くして癌で亡くなられたが、草葉の陰で弟子の柴田君の活躍をさぞや喜んでいる事であろう。・・・・・合掌



その足で銀座の写真弘社へ。先日、中国四川省西南部を取材・撮影してきたフイルムの現像を出しにいった。ここに併設されている「フォトアート銀座」の写真展を見て、今日最後の予定である日本橋高島屋で開催されている「坪島土平作陶展」(6月1日まで)へ行った。弘社の社長夫人が「先生、日本橋はすぐそこですから歩いていらした方がいいですよ」というので銀座、京橋、日本橋と久しぶりに歩いてみた。途中気になった光景があったので何カットかパシャリとシャッターを切った。土平さんとは20数年前に雑誌の仕事で、三重県津市にある広永窯を訪ねてからの親交である。あの時は、窯元で一緒に酒を飲み、興にのってそのまま温泉に出かけてまた飲み、泊まった思い出がある。



土平さんはおん歳82歳となるがとてもそうは見えない若さだ。作品も次々と新しい表現に挑戦して生み出している。「半泥子は昭和の光悦・・・・」とか「東の魯山人、西の半泥子」と言われた川喜多半泥子の唯一の内弟子としてその精神を継承してきたのが坪島土平さんである。17歳から広永窯に入ってから約10年間、半泥子が窯に立てなくなるまでの最晩年の半泥子の生き様を見続けた人である。土平作品は、今はとても高価て僕などには手がでないが、その昔、土平さんのお猪口や徳利を幾つか買っていたのでいまも大切に持っている。気分が落ち込んだ時などは、”土平猪口”でしみじみと飲むと何故か気分が晴れてくるから不思議なものである。藤村州二君という確かな後継者もできて土平さんは今後益々活躍することであろう。ちなみに7月に大阪高島屋で、11月には横浜高島屋での作陶展の開催が決定している。自愛しつつ、いつまでもすばらしい作品を見せてください。 合掌

このウェブサイトの写真作品、文章などの著作権は小松健一に帰属します。無断使用は一切禁止します。