写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.202] 2010年8月31日 ”土佐日記”の旅 第2弾!!長宗我部元親ゆかりの長浜、坂本龍馬記念館、桂浜、浦戸湾、日曜市、土佐電鉄、そしてカツオ・・・・・。

28日は、30数年来の友人の写真家・奈路広さんが、2時間以上かけて高知の西、幡多郡から僕を訪ねて来てくれた。四万十川を全国的に有名にしたのも彼の写真集『四万十川』だと思うし、土佐湾のすばらしい写真集もある。土佐を代表する写真家である。十数年前に一緒にヒマラヤへ行って、写真展を東京と高知で開催したこともあった。家族ぐるみの付き合いをしてきた友人だ。奈路さんとまず、長浜へ向かった。近年、長宗我部元親を再評価する気運が高まっているという。僕は昔から、土佐は山内より長宗我部があっていると思っていたので、うれしい評価だと歓迎する。何度か見ている龍馬記念館にも行ってみたが、人の顔を見にきたように混んでいて、とてもじっくりと龍馬の手紙を読む雰囲気ではなかった。もともとあまり見るべき資料はないのではあるが・・・・・。

SDIM2445.JPG

SDIM2454.JPG

SDIM2446.JPG

桂浜も人混みの山なのでほどほどにして、観光客が来ない浦戸湾の小さな漁港を巡ってみた。元親の居城の浦戸城もこのあたりにあった所で、小高い山と入江が入り組んでいて風情があった。いまでも一昔前の漁村のたたずまいが残っていた。その一隅で夫婦でやっている小さな食堂へ入った。サワラのあぶり寿司が名物で一人前500円。手書きのメニューをみると岩がき、たちイカ、エガ二、ガザミなど地物が、カツ丼やラーメンなどと並んでいた。僕はガザミとたちイカのげそ焼きと岩がきのフライをたのんだ。運転はしないのでチューハイも。ガザミはその場で茹でてだしてくれた。2人でも充分に堪能できる大きさである。濃厚な味で旨い。イカは2キロもあったものでげそだけど太くやわらかい。塩を少し振って焼いてもらった。カキフライはこれほど旨いのは初めてだった。目の前で生きている牡蠣を割ってフライにするのだから、その大きさといい、歯ごたえのあるミルクのようなまろやかな味といい絶品であった。みな500円前後であった。

SDIM2468.JPG

SDIM2469.JPG

SDIM2475.JPG

SDIM2474.JPG

夜は7月下旬の岩手県花巻市の山奥の台温泉で知り合ったF夫婦と再会した。2人は3週間にわたる北海道・東北のバイクツーリングの途中だった。5年ほどまえに2人で脱サラして、やったことのない農業に挑戦したのだという。いま、「夜須のフルーツトマト」というブランド化したトマトの栽培一筋にやっているのだそうだ。11アールの作付けしたハウスを2人で運営しているので8月から翌年の6月下旬までは一歩も外に出れない生活で、そこから解放されるといつも2人でバイクの旅にでるのだという。高校生の娘さんを抱えながらよくぞ決断したと拍手を送りたくなった。いかにも土佐の「いごっそう」と「はちきん」の気質をもった夫婦である。呑みっぷりも豪快で、旦那は生ビールを7~8杯は空けたろうか、奥さんはぐびぐびと日本酒の冷をあおっていた。僕はまだその夜須のトマトを食べたことがないのでいまから食するのを楽しみにしている。

SDIM2481.JPG

SDIM2485.JPG

SDIM2496.JPG

SDIM2500.JPG

最終日は、僕が10数年前に写真雑誌の審査員をしていたときに年度賞を取ったOさんが訪ねてきてくれた。高知城の大手門の前で開かれている日曜市へ撮影に行った。晴れていたかと思うと突然バケツをひっくり返したような豪雨、この繰り返しがつづく亜熱帯のような天候だった。干物屋や骨董店などをのぞいて、うるめいわしの干物と明治時代の蕎麦猪口をひとつ求めた。土佐の最後の昼飯は、やはりカツオでしめたかったので、「葉牡丹」へ行った。そしたらなんと「ノアの箱舟」の娘さんがバイトしていたのには驚いた。カツオの刺身、カツオのたたき、四万十川の手長エビのから揚げ、サバ寿司、チャンバラ貝、めひかりの焼き物など注文、それにチューハイも。Oさんと写真談議などしながら土佐の”最後の晩餐”を庶民的な店ですませた。僕の希望で土佐電鉄の終着駅、桟橋前で撮影して空港へ向かった・・・・・。この4日間お世話になった土佐の人たちにこころから感謝しながら夏雲の立つ高知空港を飛び立った・・・・・・。夕暮れのなかに孤高の富士山が小さく見えた・・・・・・。

SDIM2502.JPG

SDIM2505.JPG

このウェブサイトの写真作品、文章などの著作権は小松健一に帰属します。無断使用は一切禁止します。