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2009年5月8日 写真展「丹野章の戦後」と肖像権!!

8時間余りにおよぶ展示・構成を終えて、丹野章さんと記念にパチリ(09.5.7)
8時間余りにおよぶ展示・構成を終え、丹野章さんと記念にパチリ(09.5.7)

 

5月9日~6月15日まで品川のキャノンギャラリーS(03-6719-9021)で開催される「丹野章の戦後」の構成・編集、飾り付けを手伝った。この写真展は60年以上にわたる丹野の写真人生を一堂に展示した初めてのものといえよう。第一部がサーカス、音楽家、舞踊家、壬生狂言と1950年代初頭からの作品や丹野のVIVO時代をはじめとした代表作。第二部は、沖縄40年と題して、復帰前と復帰後の沖縄の人々の暮らしと表情に迫っている。最近まで取材を続けて作品を発表している姿勢には心打たれるものがあった。9日におこなわれる講演会をはじめ、6回にわたって開かれるギャラリートークも貴重な話を聞けるだろう(すべて無料)。 また、会期中に丹野の著書『撮る自由ー肖像権の霧を晴らす』が本の泉社から刊行される。今回展示される丹野作品のなかから50数点収録されている。それで定価1000円だから、係わったものの一人としては、ぜひ読んで欲しい一冊ではある。肖像権の権威として知られる大家重夫久留米大学法学部特任教授が推薦文を寄せているので、その一部を紹介しょう。「1970年著作権法全面改訂にあたって、写真界を代表して、写真家の「著作権」を確立した著者が、ここに写真家の立場から「肖像権」を主張する。「写す権利」は主張してこそ生まれる。・・・・・・写真家は萎縮してはいけない。撮る人すべての必読・必携の書である。」 僕と丹野章さんとの付き合いは、もうかれこれ40年近くになる。実は丹野さんと死んだ親父とは同年だ。振り返ってみると僕の写真家としての歩みにとって、大きな影響を与えてもらい、またお世話になった人たちに、僕の日本写真家協会加入の推薦人である田村茂先生をはじめ、土門拳、藤本四八、渡辺義雄、木村伊兵衛、浜谷浩、田中雅夫、伊藤逸平先生たち大正リベラリズムの洗礼を受けた人々がいた。その世代より一回りぐらい若い世代が丹野章さんをはじめ、三木淳、石元泰博、芳賀日出男、大竹省二、東松照明、細江英公、伊藤知巳、藤川清さんら大先輩がいる。こうした多くの方々からたくさんの有形無形のご指導をいただき、今日の写真家としとの僕があることを丹野さんの作品に囲まれながらつくづくと思った。8時間余りにおよんだ展示が終わり、緑雨が降り続く品川の街にでて、久しぶりに丹野さんと二人で一杯やった。越後のへぎ蕎麦と栃尾の油げを肴にして。18年前に僕がヒマラヤに行っている時に癌で死んだ親父と酒盃をかたむけているような心安らぐ宵であった。

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