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2009年10月22日 中国国家京劇院、美輪明宏音楽会を観賞して・・・・・。

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「芸術の秋」などと言うが、昨今の経済状況、不況のなかでは、なかなか芸術や文化に親しむことができにくいのが庶民の現状であろう。無論、僕も同じである。仕事柄それでもできるだけ、お金のかからない方法と企画をセレクトして足を運ぶようにしている。9月~今月にかけて、今まで行ったことがなかった催しものにチャレンジしてみた。その一つは、「TOKYO京劇フェスティバル2009」。京劇集団4団200名をこえる名優が競演する日本初の京劇芸術祭である。僕はそのなかで中国国家京劇院の「水滸伝・三打祝家荘」を観劇した。中国現地では、何度か見ているが日本公演は初めてであった。改めて異文化に対して理解することの重要性とその深さを認識させられた。


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もう一つは、「美輪明宏音楽会・愛」である。彼の歌う歌や、その言動には以前から興味を持っていたが、直接コンサートへ行くチャンスはなかった。今回、平日の昼間にもかかわらず会場を埋め尽くした人びとの層の幅の広さを見てもいかに美輪の人気が高いのかが、うかがい知れた。その魅力のひとつには、彼の飾らない語りにあるのだろう。実体験から絞り出すような戦中、戦後のリアルな話の一つ一つは、胸に突き刺さった。それは彼の歌う歌詞のなかにも表現されている。その筆述にし難い時代を経ていま、ようやく民衆がつかんだ真の民主主義という国の在り様を、美輪は高らかに賛歌として謳いあげていた。そして観客席の人々も立ち上がって”美輪ワールド”に共感していたのである。

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