写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.2292] 2022年10月1日 写真家 小松健一が半世紀にわたり取材を続けて来たライワーク「写真 日本文学風土記」の最終章の本格的な取材をはじめた。今回は兵庫県の柳田國男、和辻哲郎、椎名麟三の3人を中心に生地などゆかりの地を巡った・・・。

 

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神戸市元町南京街の夜。隣の長田区の山陽電機鉄道本社ビル前には椎名麟三の文学碑がある。椎名はかって山陽電鉄に勤めていた。その時の体験が代表作『美しい女』を生んでいる。碑文には「考えてみれば人間の自由が僕の一生の課題であるらしい」と刻まれている。

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神戸を代表する風景のひとつ日本三大中華街(南京街)

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神戸港

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神戸港・メリケンパーク。阪神淡路大震災の遺構として一部が遺してある。

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黄昏る播州平野・姫路市街。山陽新幹線が走り抜ける

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民族学者の柳田國男は兵庫県神崎郡福崎町西田原に1875(明治8)年に生まれる。柳田が「私の家は日本一小さい」と言った生家。県指定重要文化財として1972(昭和47)年に指定されて西田原に現存している。

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家は間口5間、奥行き4間。土間、3畳間と4畳半の座敷、4畳半の納戸、3畳の台所という「田の字型」民家。日本民家の原初形態、江戸期の農家の代表的な形態である。

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河童の河太郎と河次郎の物語が語り継がれている柳田國男の生家前の池。

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柳田國男と松岡家記念館。松岡家の5兄弟を顕彰した記念館の一室。6男の柳田をはじめ、それぞれの兄弟が各分野で活躍し英才であった。

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『古寺巡礼』や『風土』などの著書で知られる哲学者・和辻哲郎は1989(明治22)年に兵庫県神崎郡砥堀村仁豊野の医家の次男として生まれた。幼少期の頃、和辻が村の子どもたちとよく遊んだ市川の流れ。左側の山は甲山。

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作家の椎名麟三は、兵庫県飾磨郡曾左村之内書写村に1911(大正元)年に生まれた。現在の姫路市書写東坂。西国三十三霊場の第二十七番札所・園教寺が山腹にある書写山の山麓の村であった。園教寺の摩尼殿へ向かう塀。

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樹齢約700年の巨大杉。樹高35m、幹回り8.4mほどある御神木と参道。

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室町時代に創建された食堂(じきどう)。現在は1階は写経道場となっている。国指定重要文化財。

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室町中期に創建された大講堂。園教寺の本堂にあたる。本尊の釈迦三尊像が安置されている。国指定重要文化財。

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庭の左側に常行堂があり、三つの堂がコの字型になっている。それぞれが国指定重要文化財である。

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大講堂の正面。この地はトムクルーズが主演した映画「ラストサムライ」や「関ケ原」、大河ドラマ「軍司官兵衛」などをはじめ多くの映画・ドラマのロケ地となっている場所でもある。

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うっそうとした樹木に覆われる参道。

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崖側の参道からの眺め。

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岩山の中腹に建つ舞台造りの摩尼殿から。京都の清水寺と同じ造りだ。国指定重要文化財。

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書写山園教寺の境内にある椎名麟三文学碑。この地に生まれ、深く故郷を愛したことによるもの。書は親交のあった岡本太郎による。

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書写山から山麓の書写東坂方面を望む。

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