写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.710] 2014年6月1日 1年ぶりに初夏の鹿児島へ。写真研究会「風」の新メンバー、写真仲間、芋・黒糖焼酎、薩摩料理、島唄、そして桜島・・・・と逢う旅(第1回)

今日から6月、水無月。この月のことを祖先たちは、他に風待月、松風月、鳴神月などと洒落た名で呼んでいた。俳句の世界には季語として残っているが実生活のなかで僕ら現代人は、こうした風流に接することは本当に少なくなった・・・・・・・。

本格的な梅雨の季節に入る前にと5月25日から29日までの5日間、本州の最南端である鹿児島を訪ねた。折しも偶然に丸1年ぶりの再訪だった。今回の旅は別段何か大きな目的があるわけではない。見出しにも書いたが、昨年、今年と相次いで僕が主宰する写真研究会「風」の会員となった2人の作品を見てやること。写真家・村上光明君をはじめとした鹿児島の写真仲間たちと会うこと。それと旨い芋・黒糖焼酎、薩摩料理の探訪。桜島、温泉、奄美の島唄、薩摩の歴史などに触れる事。最後に伸び放題の髪と髭の処理・・・・・・などが主たる目的だった。だから何かこの旅の最中に絶対にやらなければならないという事柄はない。

気楽な旅である・・・・・・・。初夏の風に乗って南九州・鹿児島を自由に周ってみたいと思ったのだ。その旅の日記を写真を中心に2回の分けて報告する。今回の旅には、何十年ぶりに使うニコンS3に、モノクロフィルムのトライXを詰め、さらにブロニカRF645に、フジクロームのブローニフィルムを詰めて持っていった。このブログに載せた写真はシグマDP1、28ミリレンズで撮影したものだ。

 

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自宅を6時過ぎに出て、鹿児島空港へ着いたのは11時50分。「風」の新メンバーの北山毅君夫妻が出迎えてくれた。市内に向かう車の中で奥さんが用意してくれたサンドイッチを食べて昼食とする。午後1時から村上光明写真スタジオで、フォトセミナーを企画してくれていたのだ。第61回県美術協会展の受賞者懇親会があったので奄美大島からも5人ほど参加してくれた。1年ぶりの再会だった。参加者は全部で15人ほどいた。一人ひとり持ってきた作品を見ながらアドバイスをした。みなとても熱心なのには驚いた・・・・・・・・。

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午後3時からは、谷山・市民ギャラリーで開かれている「第9回 モノクロ6X6展」に行く。主催者や出品者、「CLASSIC CAMERA」の編集者たちが待っていてくれた。この写真展には、「風」の眞月美雨さんが昨年に続き出品している。撮り降ろし12作品「mask」は、力が入っていた。作品を解説する美雨さん(右端)。
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この写真展の特長は、全作品が6X6版でフィルムで撮影しており、プリントも全員のオリジナルプリンであることだ。主催者の吉永圭介さんは「1枚の写真になるまでに撮影、フィルム現像、暗室でのプリントという”3つの手間”がかかる。・・・・撮影においても、マニュアルでおこなうと、絞りとシャツター速度を決めて、ピントを合わせるといった”3つの手間”が余計にかかる。・・・・・私は”3つの手間”を”3つの楽しみ”に変えて楽しんでいる。何にでも利便性と効率を求める時代。趣味くらいはじっくりと手間ひまをかけて向き合う。そんな余裕があってもいいのではないか。」と語っている・・・・・・・。

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美雨作品「mask」のモデルとして登場しているとうこさん(上の写真も)。

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美雨作品の前で。左りから北山夫人の多代子さん、北山君、作者の美雨さん、左端はやはり作品「mask」でモデルを務めたみすずさんとそのお子さんたち。
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みすずさんと娘さんたち。
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可愛い娘さんたちと僕・・・・・・・。お母さんのみすずさんが撮ってくれた。
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今回の作品に、モデルとして協力してくれたとうこさん、みすずさん家族と美雨さん。そして僕・・・・・・・。
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「モノクロ6X6展」の中心メンバーである右から山本和男さん、篠原信幸さん。山本さんは、「安息日日」というタイトルで農村の夫婦を10点。すでに200組以上の夫婦を撮っているという。大ベテランだ。篠原さんは「吾輩の猫生哲学」10点。野良猫の生き方に、己の性分と人生を重ね合わせている・・・・・・。ユニークな作品。
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写真研究会「風」主宰の僕、美雨さんと北山君。初日の夕食は「風」のメンバーで取った。北山君は100点余りの写真を持ってきたので、食事の後、じっくりと合評をした・・・・・・。
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北山君の奥さんの多代子さんも写真をする。県美展などにもよく入選している実力者だ・・・・・・。
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5月26日。遅い昼食に美雨さんが連れて行ってくれた。創業昭和25年、64年前からある老舗ラーメン屋だ。以前ににも来たことがあるが、この店のラーメンは豚骨系ではないあっさりした味で独特の風味がある。
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この日は、美雨さんが共同経営している「髪工房」の定休日だったので、僕の伸び放題の髪をカットしてくれることになっていた。店長もいて2人で迎えてくれた。彼とも1年ぶりの再会だった。昨年の5月25日にチベットから戻ったばかりのバサバサ髪をこの店で切ったのだ。それも生まれて初めて髪を染めたのも、この「髪工房」であり、美雨さんだった・・・・・・。
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美雨さんは、写真家であると同時にヘア・メークアーティスト。鹿児島では知られる人気アーティストだ。これらの写真は髪を切る僕のドキュメンタリーだ。長かった髪が徐々にデザインカットされ、新たに髪が染められていく・・・・・・。
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ヘアーカラーが染まるまで小休止。自分の作品に囲まれる美雨さん・・・・・・・。
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一度目の髪染めが終わった・・・・・・・。
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2度目の髪染めに入る・・・・・・・。
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90パーセント完成・・・・・・・。
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出来上がり~!!☆☆ 鏡を使って後ろ髪を見せる・・・・・・・。
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完成した美雨作品を自ら撮る・・・・・・・。モデルは僕・・・・・・・。
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正面からも。ちょと照れくさくて、にやけた顔の僕・・・・・・・。美雨さん、ありがとうね。1年前の僕には、こんなヘアスタイルを一生のうちやることは考えもつかなかった。新たな僕を発見したような新鮮さを覚える・・・・・・・。
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約3時間程かけて散髪は終わった。この日の夕食はお礼をかねて僕が美雨さんに奢ることにした。飲食店街が連なる天文館へ行っておもしろい店を探した。この店は最初に入った店。メニューは2種類のみ。その一つの鳥皮のポン酢かけ。のりの下に大量の細かく刻んだ鳥皮が入っていてのりとポン酢を絡ませて食べる。漫画家の赤塚不二夫さんがよく通っていたという。この店のシンボルマークも赤塚さんが描いたものだ。
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もう一品は鹿児島地鶏のもも肉焼き。本来は骨の付いたままかぶりつくが、少し削いで食べやすくしてもらった。他のお客さんはみな黙々とかぶりついていた・・・・・・。旨いが少々値も張る。鳥皮が900円で、もも肉焼きが1800円だった。塩漬けきゅうりは口直しで1本100円だ。
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最後の店は、すべてのメニューに地元野菜を使った料理店。野菜不足がちなのでたくさんサラダなどを食べたのだ~。 美雨さんおつかれさまでした・・・・・・・。 感謝~!☆
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髪の毛がすっきりとして若返った気分になった僕でした・・・・・・・。黒糖焼酎に舌づつみを打つ。美雨さんの撮影。
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5月27日は、地元で活躍している写真家・村上光明君と今給黎祐三さんが昼前に迎えに来て、バングラデシュのカレー屋さんへ昼食につれてった。午後1時からは市内の中心街にある「名山堀」という街へ行って撮影会だ。串木野市から5人をはじめ県内のアマチュア写真家たちが7人ほど参加。僕と村上君を入れて総勢9人だ。戦後引き上げて来た人や空襲で焼きだされた人などに県が土地を提供して住まわせた所が名山堀と呼ばれている街である。

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細い路地が何本もあってそれが交差している。現在も数百世帯が暮らしているが、土地の売買、また貸しはもちろんのこと使用出来るのも一代限りときめられているという。後十数年でこの不思議な街は消滅してしまうだろう・・・・・・・・。
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狭い路地の上には洗濯物が所狭しと干してあった・・・・・・。お隣さん同士で棒がかかっていて、そこに干し棒をかけて洗濯物を干す仕組みになっていた。
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小さな路地には、雑貨屋、食堂、スナック、弁当屋、金物屋などこの居住空間で暮らしていけるだけの店があった・・・・・・・。
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食堂、居酒屋、スナックなどが軒を連ねる一角もあった。日本写真家協会会員、日本写真家ユニオン会員の村上光明君と。この日は僕が若かりし頃、新聞社の写真部時代に使っていたニコンS3で撮ってみた・・・・・・。今給黎さんの撮影。
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寝そべって撮影する今給黎さん。
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名山掘の撮影に参加した人たちと。この後、鹿児島駅周辺の街も撮影した。
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一旦、村上君の事務所へ戻って、第61回鹿児島県美展の入賞・入選作品の合評を2時間程やった・・・・・・・。
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そして辺りが暗くなった頃、再び名山堀へ。店に灯りが点った街を撮影に行った。店の女将・・・・・・・。
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こうした細い路地も生活道。人がけっこう行き来する・・・・・・・。
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名山堀の一軒の飲み屋へ入り、夕食をかねてご苦労さん会をした。鳥の刺身、鳥レバの刺身がとりわけ旨かった。それに「名山堀」という銘柄の芋焼酎も。写真は鳥レバの刺身。旨いので3皿も平らげた・・・・・・・。
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みんなで記念写真を・・・・・・。最後は参加者全員と僕とのツーショットの記念撮影をする出血サービス。この後、鹿児島市内からの参加者と2次会。天文館にある奄美料理の店へ。そこで呑んだ黒糖酒30度の「長雲」、「龍宮」、「高倉」の旨かったこと。ヤギ刺しをはじめ女将さんの手作りの奄美料理はまた通いたくなるほど美味であった・・・・・・・。 (つづく)

 

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