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2009年9月5日 ドキュメント『太宰治と旅する津軽』印刷立会い24時間

いよいよ今月20日に刊行される『太宰治と旅する津軽』(新潮社)の印刷刷り出しの立会いに、凸版印刷板橋工場に丸2日間出かけた。数年ぶりの立会いであったが、その時間は延べ24時間、けっこう疲れた。しかし現場の技術者の人たちとの交流など、一緒に本を作り上げていく楽しさがとりわけ心地よいものであった。毎朝9時前には、現場へ入ったのでいつも床の中でゆったりとしている僕にとっては、この2日間は正直厳しいものであった。出版社のK編集者も休日を返上して付き合ってくれて、その熱意たるや今どきの編集者の範とすべきものであるとつくづくと思った。凸版の営業の人も、ADの人も、刷りの人たちも本当に一生懸命にがんばってくれて、涙がでるほどありがたいと思った。こころから感謝している。


今回のスタッフに不思議なことに、AD部課長と担当営業の人が青森出身者であった。いくら太宰の本を作っているからといってもここまで合わせてくれなくともいいのにと思うほどであった。おまけに営業担当のN君は、凸版相撲部のホープ。僕と体型はいい勝負。だが彼の方が断然若いし、お腹がでていないところが決定的にちがいますよ。とK編集者から笑われた。一つの創作物を完成させていくということは、数え切れないおおくの人たちのサポートがあって成り立っていることをあらためて実感するとともに、感謝した2日間であった。後はどれだけ多くの人びとにこの本を手に取ってもらえるかが問われている。作り手としては、世に送り出せば終わりではなく、より多くの人びとに読んでもらえるか、その努力も責任も著者にはあると僕は常々思っているので、当然今回も全力で努力したいと思う。それが協力していただいたたくさんの方がたにたいして、ささやかではあるが恩返しであると思うからである。今夜は刷り出しを肴に独り、仲秋の満月を仰ぎながら心ゆくまで盃をかたむけるとしょうか・・・・。合掌


輪転機のある現場で、刷り出しをチェツクする。

輪転機のある現場で、刷り出しをチェツクする。


印刷現場の技術者たちと刷りを検討するK編集者。

印刷現場の技術者たちと刷りを検討するK編集者。


ようやくカラー16版、モノクロ2版の印刷が終了した。

ようやくカラー16版、モノクロ2版の印刷が終了した。


丸2日、24時間におよぶ立会いは、結構疲れる。文字通り体力勝負だ。

丸2日、24時間におよぶ立会いは、結構疲れる。文字通り体力勝負だ。


印刷立会いの校正室から見るたそがれる凸版印刷板橋工場の風景。一服するK編集者。

印刷立会いの校正室から見るたそがれる凸版印刷板橋工場の風景。一服するK編集者。

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