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[no.998] 2017年1月16日 武蔵野市民学校・映画〇学ぶ会【日本の名監督シリーズ 1930年代生まれの巨匠たち 熊井啓③】「海と毒薬」(志木市ふれあいプラザ/1月14日)のおしゃべりタイムの講師として招かれた・・・。

この映画は、太平洋戦争末期の1945年5月17日から6月2日まで捕虜となった米兵8人を臨床実験の被験者として使用した事件(九州大学生体解剖事件)を題材とした遠藤周作の1957発表の小説『海と毒薬』を熊井啓が脚本・監督して同名で映画化したもの。脚本は1969年には出来上がっていたが、その内容からスポンサーがなかなか現れず、映画化が実現したのは17年後の1986年となった。

この映画は、ベルリン国際映画祭で審査員グランプリの銀熊賞を受賞したのをはじめ、さまざまの賞を受賞した。原作:遠藤周作、脚本・監督:熊井啓、撮影:栃沢正夫、音楽:松村禎三、出演:奥田瑛二、渡辺謙、岡田真澄、成田三樹夫、神山繁、岸田今日子、田村高廣など。

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貴州省・四川省との省境にある草海(標高2120m)。
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(奄美群島・加計呂麻島)

僕は熊井啓監督、明子夫人との出会った時の印象や、その後3度ほど新宿の酒場で一緒に飲んだときのエピソード、監督の人柄などを紹介した。1989年、ブェネッィア国際映画祭で監督賞・銀獅賞を受賞した「千利休 本覚坊遺文」を制作中の頃は、監督は一番輝いていて、大好きな酒も断って全力で取り組んでいた姿が思い出される・・・・。

最後にお会いしたのは、確か亡くなる7年前の2000年2月だったと思う。新宿・京王プラザホテルで僕の俳句の師匠であった故高島茂の「高島茂を偲び、ぼるが50周年を祝う会」だった。明子夫人も同伴していた。この会の発起人として監督も名を連ねていた。僕も写真家の一人として。

その他に映画関係者では、神山征二郎監督、俳優の山本圭、亘兄弟。俳人には金子兜太、川崎展宏、三橋敏夫、阿部寒林、藤田湘子など日本俳壇を代表するそうそうたるメンバー。他に画家、ジャーナリスト、写真家、登山家、演劇人など著名人が名を連ねていた。そうした人たちはみな高島茂を愛し、「ぼるが」の常連たちであった・・・・。

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遠藤周作著『海と毒薬』(新潮文庫・370円)「神なき日本人の”罪の意識”の不在の不気味さ」をテーマに描いた問題作。新潮社文学賞受賞。
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◆武蔵野市民学校・映画を〇学ぶ会とは、日本国憲法第25条をよりどことし、参加費無料を原則にして、2009年5月に発足、現在までに約670回の上映をしてきている。「7周年記念文集」、「上映会650回突破記念文集」も発行。毎回の参加費、パンフレット、資料集、会報代などすべて随意の募金などでまかない、希望者には配布している。
◆同会を支持してくれる会員を募集中、年会費1,000円。会報や上映会案内を郵送するための経費に充てている。(申し込み先:TEL080-429-4904 〒352-0003 新座市北野1-4-5-102 兼岡敏二まで)
◆「すぐれた映画は人生の教科書」「東上線に文化の灯を」を合言葉に、東武東上線沿線の地域でも上映会活動を展開している。現在、昨年死去したポーランド映画界の巨匠・アンジェイ・ワイダ監督の追悼連続上映会が行なわれており、2月1日の上映で第9回目となる。今年1年間続ける計画である。毎回上映のあとに参加者が車座になって、感想など出しあい話し合うのがこの会の特徴である。

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奄美群島・加計呂麻島。

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