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2010年2月2日 青年独歩の武蔵野のあり深雪晴れ  黙しつつ振り子のつづく雪の果て・・・・・風写

 

1月下旬は、すっかり春のぽかぽか気候だったのに、節分を前にした昨夜から今朝方にかけて急に冷え込み、久方ぶりに都会でも積雪があった。白く薄化粧した景色が綺麗だったので、家の庭側と玄関前を撮影してみた。ついでに「雪」を季語にした俳句をどのくらい詠んでいるかを調べてみたくなって手元にあった同人誌をめくってみた。僕が俳人の高島茂さん主宰の同人誌「獐」に本格的に投稿を始めたのは1995年12月号からだった。冬の句は少なくないが「雪」そのものを詠んだのは思いのほか少なかった。以下、今朝の雪景色の写真とともに、いくつかの句を紹介してみよう。


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   荒川に雪はげし我が裡に降れ   雪国の童女に似たり冬牡丹 (1996・3)


   ぼたん雪九枚目のでて出雲そば (1997・3)


   初雪や子規庵はホテルに埋もれ  青年独歩の武蔵野のあり深雪晴れ


   長き長き葬列のごと深雪径     尾長鳥べうべうと舞ふ竹の雪 (1998・2)


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   氷雪や蝿は一途に空を欲り     初蝶の流されゆけり大雪渓


   氷雪の嶺に対峙す大銀河      糞拾ふ子らの瞳や雪解水


   雪しまく蕾のよふな尼と逢ふ     寝袋のヒマラヤ山中雪女郎


   貴重なる卵ふるわす雪崩かな    雪に死す村に赤子の響きかな (1998・3) 


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   湯布院に軍靴一面二月雪 (2000・3) 細雪母の声享くかうかうと (’01・1)


   同胞の声の遠のく雪の原 (’01・4)   新雪や遠吠へ止みし母の里 (’02・2)


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   唇を奪ひし雪の山河かな (’02・4)  黙しつつ振り子のつづく雪の果て


   たましひのきづなの果ての雪解水 (2002・5)


   郷里は湖底に暮るる雪、雪、雪 (2005・2)         小松風写


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