写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.684] 2014年3月18日 住谷夢幻Ⅰ「書表現の世界」、住谷夢幻Ⅱ「3.11 フクシマ」(3月5日~16日まで/前橋・ノイエス朝日)を見に行った。そして上州の実家へ、母や弟たちと墓参をして温泉にも浸かってきた・・・・・・。

3月15日~17日まで僕が育った上州へ行ってきた。第一の目的は、30年来の親しい友人である詩人・「書」表現者の住谷夢幻さんの個展を見に行くためだ。彼について少し紹介しておく。住谷夢幻は筆名で、本名は岡田芳保だ。元群馬県立図書館長、元群馬県立土屋文明記念館館長など務める。第6回NHK関東甲信越地域文化賞受賞。著書に、詩画集『住谷玄無の16の花の詩による版画集』、詩集『光・風・空』など。展覧会は、「夢幻の書展」(東京・神田)など多数。

僕の萩原朔太郎をはじめとした「日本文学風土記シリーズ」では色々な面においてサポートしてもらった。また2006年には、画家で小説家の司修さんと夢幻さんとをネパールヒマラヤに2週間ほど案内したことがある。同じ上州人ということもあって何かと良く会って語らい、飲んだものだ。勿論、年齢は僕よりも一回りほど上だが、気が合うのである・・・・・・・。詩人の伊藤信吉さんとも共通の友人であり、夢幻さんはとりわけ親しかった。その他にも水上勉さんなど作家や詩人、音楽家、出版人など幅広い人脈を持っている文化人である。若き日にパリに留学をしていたので酔うと必ずフランス語でシャンソンを歌う・・・・・・・。

今回の書はいままでの夢幻さんの書を大きく超えていた。魂をゆさぶられ、圧倒されたというのが僕の第一印象だった。「3.11 フクシマ」を書でどう表現するのだろうかということも興味を持っていたのである。夢幻さんは、自分の書について本道から外れていて前衛書でも現代書でないとし、「私の仕事の方向性は、心身で創造する。 生み出すイメージの世界なのです」と言っている。「3.11 フクシマ」の作品は、幅0,94mX60mの超大作だ。会場入口から最後までが一枚の和紙に墨や柿渋によって描かれている。言葉を何遍も重ねても言い表せないので、僕なりに60メートルの作品の一部を写真で切り撮らせてもらった。以下紹介するので、静かに向き合って夢幻さんの突き上げる魂の叫びを聞きとって欲しい・・・・・・・・。

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東京から来た元出版社の編集長たちに作品を説明する夢幻さん(右から2人目)。
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ありそうにない事がありえない事が起こっている(「住谷夢幻 3.11 フクシマ」より)
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いきなり日常さが爆発した(「住谷夢幻 3.11 フクシマ」より)
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日常を歪んだ 像(イメージ) が襲う

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書は瞬間化された文字の形而上学である

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出来事は想像力を乗り越えてしまった
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全ての過去は復権されるか 絶望は希望を磨きだすか
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入場者に作品の解説を丁寧にする夢幻さん(真ん中)。
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僕も夢幻さんと記念写真を・・・・・・・。
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やはり昔から親しい陶芸家の高橋芳宣さんとノイエス朝日の企画・展示・構成全てを担当している武藤貴代子さん。彼女とも30年来の付き合いである。この12月に武藤さんの企画で、僕と夢幻さんと芳宣さんと七宝焼き作家の斉藤かおるさんとでコラボ展をこの会場で開催することが決まっている・・・・・・・。
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書家のAさんと夢幻さんと僕で。「3.11 フクシマ」の前で。

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実家の庭先の日陰には、先日降った雪がまだ残っていた。何十年ぶりかで1メートル近く積もったという。
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いつも行く手打ち蕎麦・うどん「里の茶屋」へ。その店の前の風景。
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弟の勝三の嫁・美香と母は鍋焼きうどん、弟は鴨南蛮そば、僕はきのこ汁せいろを食べた。
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汁の中には大量のきのこが何種類も入っていた。そば粉は地粉を使用。舞茸のてんぷらも美味。店主は大戸窯という陶芸もやっていて、この店の器は店主の手作りのもだ。鉄砲撃ちもしているので、この店で出される鹿肉、猪肉などは自分で獲ったものを出しているという。実家から10分ほどの所にある・・・・・・・。
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母と弟・小松勝三と嫁の美香ちゃん・・・・・・・。江戸から上州、信州へと続く旧街道。この先に国定忠治が2度関所破りをして、処刑された大戸の関所跡がある。
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近くに山から湧き出る美味しい水があるので、ポリタンクに汲んで帰る。実家も弟の事務所もこの水でお茶やコーヒーを沸かしている。もちろん酒の水割りも旨い・・・・・・・。弟・勝三の嫁・美香ちゃんと母と・・・・・・。
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墓参へ行く。町の公営墓地の一角に小松家の墓はある。20年ほど前に売り出したときに母と現地を見て購入した。東京の多磨墓地に元々の小松家の墓はあるのだが、親父が死んだ時に、母がいつでも墓参りが出来るようにと親父の両親や兄弟たちの遺骨を移したのだ・・・・・・・。多磨墓地へは僕がたまに行っている。
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16日は、日差しは暖かったが、北風が強く寒かった。谷川岳をはじめとした上越国境の山々は吹雪いていた。
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僕の従弟がはじめた足で全身を揉む「相気健康法」。家の近くにある岩櫃温泉にその体験所があり、従弟の娘がやっているので、僕はこの温泉へ行くと必ずやってもらう。ツボを的確に揉み解していくので温泉に入った後してもらうと気持ちがいい。30分で3、000円だ。
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岩櫃温泉。岩櫃山の麓にある。戦国時代に眞田昌幸が治めていた城として知られている。武田領の三堅城の一つとして名高い。織田・徳川の連合軍に敗れた武田勝頼が落ち延びるはずだった城である・・・・・・。
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母の友人である隣町のKさんの家で。どうしても僕に一度来てくれというので帰京する前に顔を出した・・・・・・。
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後数ヶ月で満86歳になる母の肖像。実家の庭にはまだ残雪があった・・・・・。「髪もボサボサだし、化粧もしていないのでやだよ~」と言いながらもカメラの前に立った。いつまでも元気でいて欲しいと願うばかりだ・・・・・・合掌

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