3月15日~17日まで僕が育った上州へ行ってきた。第一の目的は、30年来の親しい友人である詩人・「書」表現者の住谷夢幻さんの個展を見に行くためだ。彼について少し紹介しておく。住谷夢幻は筆名で、本名は岡田芳保だ。元群馬県立図書館長、元群馬県立土屋文明記念館館長など務める。第6回NHK関東甲信越地域文化賞受賞。著書に、詩画集『住谷玄無の16の花の詩による版画集』、詩集『光・風・空』など。展覧会は、「夢幻の書展」(東京・神田)など多数。
僕の萩原朔太郎をはじめとした「日本文学風土記シリーズ」では色々な面においてサポートしてもらった。また2006年には、画家で小説家の司修さんと夢幻さんとをネパールヒマラヤに2週間ほど案内したことがある。同じ上州人ということもあって何かと良く会って語らい、飲んだものだ。勿論、年齢は僕よりも一回りほど上だが、気が合うのである・・・・・・・。詩人の伊藤信吉さんとも共通の友人であり、夢幻さんはとりわけ親しかった。その他にも水上勉さんなど作家や詩人、音楽家、出版人など幅広い人脈を持っている文化人である。若き日にパリに留学をしていたので酔うと必ずフランス語でシャンソンを歌う・・・・・・・。
今回の書はいままでの夢幻さんの書を大きく超えていた。魂をゆさぶられ、圧倒されたというのが僕の第一印象だった。「3.11 フクシマ」を書でどう表現するのだろうかということも興味を持っていたのである。夢幻さんは、自分の書について本道から外れていて前衛書でも現代書でないとし、「私の仕事の方向性は、心身で創造する。 生み出すイメージの世界なのです」と言っている。「3.11 フクシマ」の作品は、幅0,94mX60mの超大作だ。会場入口から最後までが一枚の和紙に墨や柿渋によって描かれている。言葉を何遍も重ねても言い表せないので、僕なりに60メートルの作品の一部を写真で切り撮らせてもらった。以下紹介するので、静かに向き合って夢幻さんの突き上げる魂の叫びを聞きとって欲しい・・・・・・・・。
日常を歪んだ 像(イメージ) が襲う
書は瞬間化された文字の形而上学である
書家のAさんと夢幻さんと僕で。「3.11 フクシマ」の前で。
後数ヶ月で満86歳になる母の肖像。実家の庭にはまだ残雪があった・・・・・。「髪もボサボサだし、化粧もしていないのでやだよ~」と言いながらもカメラの前に立った。いつまでも元気でいて欲しいと願うばかりだ・・・・・・合掌