写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.407] 2012年1月14日 この冬一番の寒波が列島を覆う日々、30数年間にわたって取材を続けてきた『日本文学風土記』のことを考える・・・・・・。

ここ3日ほどこの冬一番の寒波が列島を覆っていて、節約のため暖房器具使っていない我が家も冷蔵庫の中のような寒さだ。羽毛を着込んで、首にはショールを巻いている。手袋をしていては何も出来ないので素手だから手の寒さはどうしょうもない。時々お湯の中に手を入れて温めたりしている・・・・・・・・。

昨日の13日は「頼朝忌」。武士がはじめて幕府を築いた鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝が亡くなった日だ。建久10年1月13日に没している。俳人・秋元不死男の句に、 「頼朝忌雨だれ絞る松の瘤」 がある。

名古屋で活躍している日本写真家協会会員で日本写真家ユニオンの会員でもあるM君が写真作品を300~400点を持って上京してきた。この数年間に4度取材へ行っているバングラデシュの娼婦の町に生きる少女たちを撮った写真である。昨年は2ヶ月間現地で暮らしながら取材したと言う。今回はまとめて個展を開催したいので見て欲しいと僕の所にきたのだ。以前にも何回か見ていて、力の入った作品なので雑誌社に紹介して2度グラビアとして取り上げられたことがあった。

4時間ほどかけて約50点に絞り込んだ。重いテーマではあるが逞しく生きている少女らが眩しく見えるすばらしい作品群であった。単なるドキュメンタリーでない作品だった・・・・・・・。作業が終了した後、最終で名古屋へ帰るまで時間があると言うので取材でのエピソードなど聞きながら呑んだ。M君の作品は彼が若い頃から知っていたが、改めて今回の作品を見せてもらって写真家としての底力を見たような気がした。同時にこうしたテーマに真正面からぶっかっているM君に心からのエールを送りたいと思ったのである・・・・・・・・・。こういうときの酒はまた格別に旨いものだ。僕は家から出るのは6日振りであった・・・・・・・・。

 

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 (「日本文学風土記」より 信州・木曾街道 大妻籠宿で)

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 (「日本文学風土記」より 秋田・乳頭温泉で)

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(「日本文学風土記」より 信州・更埴市 森で)

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(「日本文学風土記」より 山形・最上川畔で)

上記の作品は僕が40年来取材を続けている「日本文学風土記」のなかのもの。沖縄から北海道までのすべての都道府県を文学を切り口にして、表現しょうという試みである。日本人のそれぞれの土地の暮らしや文化を一人の写真家の眼でまとめたいと思っている。一昨年刊行した『太宰治と旅する津軽』も、昨年刊行した『宮澤賢治 雨ニモマケズという祈り』、『啄木への旅』もその流れのなかのひとつの作品なのである。あと何年かかるかわからないが、どうしても一本にまとめたいと思っている・・・・・・・・・。

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