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[no.311] 2011年5月25日 宮沢賢治の「オホーック挽歌」を辿る作家・重松清さんとの旅ーーロシア・ハバロフスク、サハリン島・・・・その(1)

5月20日、家を午前9時に出発、成田空港へ向かった。14時35分発ハバロフスク行き、ウラジオストック航空8830便に乗るためだ。この旅を一緒にするのは、作家の重松清さんと新潮社のO編集者だ。7月刊行のとんぼの本の新シリーズ『宮沢賢治 雨ニモ負ケズという祈り』の取材のためだ。この本の巻頭に直木賞作家の重松清さんのサハリン紀行を載せるという企画である。僕はもちろん名前は存じていたが直接会うのは初めだった。生まれが同じ岡山県ということで何となく親しみは持っていた。XF8830便は定刻に成田空港を離陸した・・・・・・・。

 

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ハバロフスクは、21年ぶりだった。以前来た時は、ソビエト連邦崩壊の序曲ともいうべき時代で、2月の真冬だったこともあり、暗くて寒く何か殺伐とした雰囲気が街に漂っていた記憶がある。しかし、21年ぶりのハバロフスクは、19時40分を過ぎているのにまだ明るかった。街路樹は芽吹きはじめて、街は萌黄色にけぶっていた。時々さくらの花が咲いていて、日本の早春という感じがした。市内の個人周りとしたホテルに運転手に案内されて入った。3人ともロシア語は出来ないので、英語で話すが、相手になかなか英語が通じない。身振り手振りでどうにかチェクインができた。写真はハバロフスク空港とホテルの前の光景。一昔前のホテルのような感じの良いフロント。可愛いフロント係りをロシア女性の初撮り~!!
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僕らの席の後ろで独りで飲んでいた女性がメチャ可愛かったので、店の子と一緒にパチリ。
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タクシーを呼んで街のレストランへ。先程の可愛いフロントの子のお薦めのウクライナ料理の店へ行ってみた。ここでもやはりオーダーをめぐって四苦八苦。まあ、これが旅の醍醐味ではあるが、O編集者とすれば、直木賞作家に失礼があっては大変と神経をすり減らしていた。英語のメニューがあるのに、英語がわからないときているから麦酒ひとつ頼むのにも大変。ロシア語のメニューでは僕らがちんぷんかんぷんである。僕が下手な絵を描いたりして説明するも無駄。周りのロシア人たちはあんまり料理は食べず、麦酒ばかりを飲みながら語り合っているだけだから、「あれ!」と指差すわけにもいかない。そうこうしている内に、黒麦酒は黒い机を指差し、普通の麦酒は白い紙のメニューを指差すことで、お互いに通じ合ってようやく麦酒にありつけたのである・・・・・。店員に9年前に日本に行ったことがあるという女性(上の写真の左の子)が一人いることがわかり、どうにか料理もオーダーできた。しかし、重松さんが食べたかった料理の半分も注文できなかったようで、初日のロシアの晩餐としては寂しかったかもしれない・・・・・・。でも麦酒とウオトカだけは初日からしたたかに飲んだのであった。
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寝る前に、自らの肖像写真をロシアでパチリ・・・・・・。
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ハバロフスク空港を15時発のユジノサハリンスク行きXF435便なので、少しの時間、市内を巡ってみた。運転手もロシア語しか通じないがこちらは身振り手振りがけっこう解るので、少し安心。まずアムール河の岸辺へ。冷たい雨が朝から降っていて本降りになっていた。丘の上に建つ極東最大というロシア正教の教会を見て空港に向かった。
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5月21日、16時20分。日本を発って約30時間、ようやく目的地のサハリン島に到着した。辺りの山々は真っ白で雪が降っている。北からの烈風が冷たくハバロフスクとは10数度の差がある。空港に出迎えてくれたのは、本業は日本で言うと海上保安庁の緊急事態要員のような仕事をしていて、今回はアルバイトで通訳兼ガイドを務めてくれるアルック君(44歳)。朝鮮民族の奥さんとに2人の女子があるという。旧樺太時代の歴史やロシア・日本文学にも造詣が深く、ガイドとしては優秀だ。酒の飲みすぎがたまに傷ではあるが、それはこちらのメンバーだって負けてはいないからお互いさまではある。この日の夕食は昨夜のうっぷんもあってかご覧の通り。店員さんも目を丸くして驚いていたので~る。地元サハリン料理、ロシア料理、韓国料理と来たもんだ~☆☆☆

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