写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.285] 2011年3月21日 中国・四川省から大震災へのお見舞いと激励のメッセージが届く。 古今亭志ん朝、桂枝雀の落語を聞き独り笑える日々・・・・・。

僕の身体は、あの地震のあった日からいつも揺れている感じがする。食事をしている時にも、トイレに行っている時にも、寝ている時にもだ・・・・・・。今日は朝から冷たい雨が降っている。東北地方の被災地は、氷雨から雪に変わるのではないかと天気予報は報じている。地震から9日間たった昨日、津波の被害の大きかった岩手県釜石市で、80歳のおばあちゃんと孫の16歳の少年が瓦礫の下から救助されたという明るいニュースが飛び込んできた。動けなくなったおばあちゃんを守りながら必死に生き抜き、救助を求め続けた少年の勇気ある行動と人間の持つ生命力の強さにあらためて感動したのは僕だけではないだろう・・・・・・。

3日前に、2008年に起きた四川大地震の地からお見舞いと激励のメールが入った。記憶にまだ新しいと思うがこの大地震で亡くなった人は行方不明者と合わせると約9万人。被災者は4616万人をこえるという空前絶後の大地震だった。僕はその半年前の2007年秋、地震後の2009年冬、そして2010年5月、7月と最大の被災地だった四川省の各地を「三国志」の取材で巡った。そのどこもが、まだまだ被害の爪痕は深く残っていたものの復興に向けて元気に活動していたのが印象的だった。僕が何人かに「あれだけの被害を受けたのに・・・・・」と訪ねると誰もが「済んでしまったことをいつまでもくよくよしていても亡くなった人は喜ばない。亡くなった人たちの分までがんばって幸せにならなければ・・・・」と笑顔で言うのである。僕は強く胸を打たれたものだった・・・・・・・。

 

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励ましのメールをくれたのは、四川省の成都に暮らす何芳(かほう)さん。2007年の取材の時に5日間通訳をしてくれた女性だ。当時は独身だったがその後結婚をして、いまは2歳のお子さんを持つお母さんである。もう4年も前に会っただけなのに、彼女もネパールの青年のように、日本の友人と被災者の人たちのことをこころから心配しているのだ。ありがたいことである・・・・・・・。一緒に写っているのは、写真家の塩崎亨君。当時はまだフリーではなく会社員だったが、僕の取材のために半月ほど休んで助手として同行してくれたのである。記念に何芳さんと撮った写真を載せておこう・・・・・・・。

今月の5日に銀座の写真展のトークショーに出たのと13日に出かけたきりで、後は家に篭もっている。今日で15日間・・・・・・・。毎日流れ続ける被災のニュースに、なかなかおさまらない余震、さらに原発事故の放射線被害の風評、店で欲しい物は、買占めで手に入らない。僕は買占めもあろうが、店側のコントロールが気になる。東電の計画停電のためといって冷凍食品などはすべて棚からなくし、野菜や豆腐などは全て一人一品限りとなっている。こういう状況では消費者心理としては、何となく何でも買っておこうという行動はわからなくもない。店の側の配慮を望みたい・・・・・・・・。
こんな日々が続いていると気持ちが落ち込む、何となく暗くなるのだ・・・・・・。そこで僕は好きな落語を毎日聞くことにして、独り笑っている。今聞いているのは、古今亭志ん朝の「夢金」と「品川心中」、桂枝雀の「代書」と「親子酒」だ。独り笑いでもこころは晴れてくるものである。
みなさん、こんなときにこそ明るく元気にいきましょうね ☆☆☆!!


 

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