写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.270] 2011年2月11日 アサヒカメラ前編集長「奥田明久さんを偲ぶ会」が多数の参列者でしめやかにおこなわれた。そして東京に、この冬初めての雪が降る・・・・・。

 

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朝方の5時過ぎに寒さで目覚めたら、この冬初めての雪が降っていた・・・・・。日本海側や東北地方は記録的な大雪が続いているニュースが連日テレビで放映されているが、太平洋側では異常な乾燥した日々が続いていた。昨年は雪の積もる日がいく日もあったので、僕の家の周辺の雪景色の写真をブログで何枚か紹介した。その写真には、辺りにはまだ武蔵野の面影が所々に残っていたのだが、この1年間で次々と畑や空き地は、住宅開発がおこなわれた。僕の家の前が7棟、横が6棟、少し離れた家に来る道路の入り口に6棟の工事が一斉に始まっている。

30年間近く馴れ親しんできた光景が激変したのだ。僕らは地域住民ととに「宮戸3丁目の暮らしを考える会」を立ち上げて、市議会や市の建築課、マスコミそして建築業者などと話し合いを続けてきた。一部業者の開発が、市の開発条例違反の疑いがあるということで、1年間建設等が凍結となったものの全体の開発そのものはなんら関係なく進んでいるのだ。僕の家のベランダには今も「この土地は終の住みか、一生もぐらのような暮らしはごめん!!」などの看板が付いたままだ。隣近所の家々にもそれぞれの思いや願いを書いた看板を掲げたままだ。長い間、この地で暮らしてきた住民の最低限の声を聞いて欲しいと思わずにはいられない・・・・・・。

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2月9日、午後6時半から東京丸の内の東京會舘・ローズルームで「奥田明久さんを偲ぶ会」がしめやかにおこなわれた。田沼武能さんや池澤夏樹さん、三村淳さんらが発起人となって開かれたこの会には、写真、出版界をはじめ各界の人々4~500人ぐらいが参列していたろうか。僕も彼が「アサヒカメラ」編集長になる前からの知り合いだったので出かけた。奥田君は誰もが知る酒好きで、僕よりもはるかに深酒の日々を送っていただろう。だから彼とは自然と飲む機会も多かったし、パティーなどにも欠かさず出席する律儀な面もあったから余計に酒量は増していったのだろう。数年前からは、奥田君と会う度に体のことを心配するようになっていた。この僕でさえ・・・・・。

花々と遺影が飾られた祭壇前には、奥田君が好きだった様々な酒が置かれていた。また会場でも彼が好んでのんでいたという酒が来場者に振るまわれていて、いかにも彼が愛した宴のような趣向であった。僕は好きな日本酒はもうかれこれ10年以上は断っているのだが、この日は奥田君がめっぽう愛して、近所のひとたちと「高鍋を飲む会」と言う会を催していたという日本酒「高鍋」を一口飲んでみた。切れ味がいいフルーティーさの残る酒で、何か奥田君のイメージにはちょと合わないような上品な酒だった。でも彼には、真面目さをはにかむ様なシャイところが確かにあったと思う。一見つっぱりボーイであるが憎めない人間的な愛嬌をたたえていた。そして”洒落男”でもあった・・・・・。

1年数ヶ月ぶりに写真家の水越武さんと会場で会ったので、いろいろと話した。水越さんは奥田君が亡くなる数時間前まで2人でこれからの企画や写真ことなどについて話し、飲んでいたそうである。タクシーで宿まで送ってくれて別れた。その後に亡くなったから、ショックだったらしい。水越さんは、以来この日までほとんど人とは会わなかったという。別れた翌日から一週間ほど山に取材に入り、彼が亡くなったことを直ぐに知ることができなかったことが、責任感の強い水越さんには、感じることが一層深まったのだろう。田沼武能さんも水越さんと彼が2人になる直前まで、奥田君もふくめてみんなと講演会の打ち上げで一緒にいたそうだ。編集者としての奥田君との想い出をしんみりと語っていた。僕の写真家協会の推薦人の一人である山口勝広さんも一緒に入ってもらって写真を撮らしてもらった。山口さんは現在、日本写真家協会常務理事で日本旅行写真家協会会長を務めているが、若い頃からの長い付き合いのある先輩である。この日は久しぶりに会った写真家も多く懐かしかった。水中写真家の中村征夫さんや動物写真家の宮崎学さんらとは近況を話した。

奥田君、それにしても君の奥さんの別れの言葉は笑いあり、涙ありで会場を沸かせていたぜよ。 やすらかに・・・・・。 そしてあの世ですきな酒を思いのままに飲んでいればいいさ~。 そのうちに呑みにいくよ~。  合掌

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