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[no,218] 2010年10月13日 得月楼での遊び、県展審査無事終了、高新での講演と懇親会、寺田寅彦記念館で一絃琴を聞く、そして室戸岬と弘法大師ゆかりの地を巡る・・・・・。(1回目)

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10月3日夕刻、土佐龍馬空港に着いた。この日1時間に80数ミリという豪雨が高知地方を襲い、各地に被害をもたらした。一時期空港も閉鎖され離着できなく大幅に飛行機のダイヤが乱れたという。僕が着いた頃は、雨は小降りになっていた。夜は高知新聞社の社長をはじめ、役員、県展事務局ならび県外からの審査員5人による明日からのおこなわれる第64回高知県美術展覧会の審査の打ち合わせがおこなわれた。僕は昨年に引き続き2回目であるが、他の4氏は初審査である。しかし筑波大大学院教授、京都市立芸術大教授などみな大学の先生ばかり。歳は僕と同世代だった。それだけ僕も歳をとったというわけか・・・・・・。打ち合わせの後は恒例の懇親会。会場が明治3年創業の南海第一楼とうたわれた得月楼である。明治の全盛期には従業員は1400人をこえたというからいかに繁栄していたか想像できよう。坂本龍馬の師であった河田小龍の描いた絵の前で、土佐に伝わる酒席での遊びをした。「ベロベロの神様は正直な神様よお酒の方へとおもむきゃれ~」と繰り返し詠いながら小さな独楽を回し、軸の指した方の人が盃に並々ついだ酒を飲み干すというものだ。先生方はひとしきり盛り上がっていた。小龍の描いた絵のなかの赤い絵の具は当時、アメリカから戻ったジョン万次郎が持ってきたと言うので僕は興味深く鑑賞した。宴が終わってから事業部長と二人でやり直した。「三国志」という居酒屋も面白かったが、彼が良く行っているというジャズのバーは、ピアノの演奏が流れていて洒落ていた。一日目の土佐の夜はこうして更けていったのであった。

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翌4日は、朝から高知新聞の写真部長がホテルに迎えにきてくれて審査会場へ向かった。会場は市内の中心地にある文化プラザ「かるぽーと」ここでは写真の他に、彫刻、工芸、書道、グラフィックデザインの審査・展示もおこなわれるので、大勢のスタッフで活気に溢れていた。今年は全体で1836人の3678作品が搬入された。昨年より78点増えたという。写真部門は1794作品から第1次審査で334作品に絞りこんでいたのでこのなかから特選3点、褒状20点、県美術振興会奨励賞1点、新人賞1点を決めるのである。昼食をはさんで3時過ぎには決定した。褒状までは比較的スムーズに運んだが最後の特選で時間がかかってしまった。でも全体には昨年よりも質的に向上していい展覧会になると思った。6時から高知新聞社のホールで昨年に続き講演会をした。100人をこえる写真愛好家で熱気があった。終了後希望者で近くの土佐料理店で懇親会。30人近い人が参加して遅くまで写真談議に花が咲いていた。僕は前写真部長と2人で僕の大好きな店、「ときわ」に顔をだしてしみじみとやった・・・・・・。

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5日は朝から清々しい秋晴れ。須崎の写真家Oさんが案内をかってくれて車で迎えに来た。昨夜、高知新聞の専門委員のKさんが「先生明日、寺田寅彦記念館で土佐・一絃琴の演奏を取材するので一緒に行きませんか・・・」と誘われていたのでまず、寺田寅彦記念館へ行ってみた。目の前で聞くのははじめてであったが何か物悲しいしらべでこころに残った。その足で真っ直ぐに室戸岬へ走った。僕は土佐大好き人間で、30年あまり通っていたのに、何故か室戸には行ったことがなかったのである。ときわの女将も事業部長も前写真部長も室戸出身でみな口をそろえて「室戸いいぜよ」というのである。室戸岬のダイナミックな地形や地層、弘法大師ゆかりの地の霊場と遍路道、紀貫之が都への帰還の途中に避難したという室戸港など西土佐とはまた違う風土があり印象に残った。漁港の町は昔ながらの町並みが残っており、飛び魚の日干しは70尾で600円と信じられない値段であった。僕はみんなのおみやげにとたっぷりと買った。室戸生まれで室戸育ちの人たちが「飛び魚の日干しも珍しいがこんな旨いのは食べたことがない」とみな喜んでくれたのはうれしかった・・・・・・。

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