写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.212] 2010年9月23日 宇佐八幡宮秋の大祭を撮影し、「上州故里」のテーマをさらに深めたいと思いつつ・・・・・。40数年ぶりに会った故郷の人々の心根に盃をあおる日々だった・・・・・。

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9月19日、鎮守様の秋祭りにふさわしい晴天だ。昨夜の深酒も多少残っていたが、気分は爽快。犬の五右衛門を散歩に連れて行く。母は足がだいぶ弱くなったので元気に走り回る五右衛門を散歩には連れて行けなくなっているので僕が帰省したときには必ず毎日連れていくことにしているのだ。だから五右衛門はそれを知っていて、僕の姿を見つけるとうれしそうに跳ね回るのである。いつものコースを回ってきたあと、カメラを持って八幡さんへ出かけた。すでにみなそろっていて出店なども大きな声で呼び込みをしていた。一番したの弟夫婦たちも昨日から手伝いに来ていて、朝から焼きそばを焼いていた。後輩が神主になっていておごそかにのりとうをあげ神事を境内ですすめていた。僕はぷらぷらと写真を撮った。僕らが子どもの頃は、この八幡の境内が遊び場で朝から日の暮れるまで遊んだものだった。「ビー玉」、「面子」、「ベーゴマ」、「たまご」、「棒野球」、「駆逐水雷」、「陣取り」、「鬼ごっこ」、「かくれんぼ」、「チャンバラ」・・・・・・・。ありとあらゆる遊びの場がここであった。体を動かし、そからにある棒切れなどを使ってのあそびである。一緒に遊んだ先輩や後輩たちと昨夜、飲みながらそのルールを思い出しながら語った。でもいま、自分でその場所に立って見ると何と狭いことか。すごく高くみえた碑の建つ岩山も低いのだ。従兄弟が作った社務所に上がって飲んでくださいと言うので呼ばれることとした。前の川で捕ってきたという天然の岩魚を焼いて、骨酒をつくった。「ア~下村の健ちゃんかい・・・」と声をかけてくれたのは、子どもの頃ずいぶんと面倒をかけた村のおじさんたち。歳を聞くと88歳だとか82歳だという。考えてみれば僕もまもなく還暦を迎えるのだから、おじさんたちだって歳をとるのは当たり前だ。40~50年ぶりに会った人もいた。

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さて、昨日約束した、この内出という小さな集落の鎮守さまの祭りに何故、300人を超える人々が参集するのかと言うことについて語ることにしょう。僕らが子どもだった昭和30年代前半までは、八幡の祭りは出店も並び、賑やかであった。しかし高度成長期を迎え、人々は農業から都会へと働きに行くようになると小さな村祭りに来る人は次第にいなくなっていった。僕の記憶によれば昭和40年代頃には、出店もなくなり、踊りなどもしなくなった。お参りに来る人には、菱形の餅をおみごくとして配るためにお年寄りだけが神社の中にいた。そんな時期がしばらくあったが、今から30年ほど前に、僕らのはるか後輩たちが中心になって「祭りを賑わす会」と言うのを発足させたのだ。もちろん最初は年寄りたちの理解を得ることできず、資金も無く苦労したという。弟たちもその輪のなかにいた。自分たちが子どもの頃楽しく思い出にある八幡の賑やかな祭りを復活させ子どもたちに夢を与えたい。嫁にきたり、引っ越してきた若い住民の交流の場をつくろうと立ち上がったのである。提灯を灯して寄付を集めたり、出店でも稼いだ。立派な子ども神輿も寄付を募ってつくった。舞台をつくって歌手やバンドも呼んで人を集めるようにした。子どもたちのために川に岩魚やマスを放流してつかみ取りもやるようにしている。2日間、生ビールも酎ハイも日本酒もすべて無料。何杯飲んでもである。だから人が集まる。家族連れで毎年参加するようになる。村の人でない人たちも多いと言う。しかしみんなは「わざわざ祭りに家族連れできてくれるだけでもありがたいさ~」と笑うのである。僕はこの行事を中心になってやってきた後輩たちと固い握手をしながら「君らはすばらしい歴史をつくりつつある。これからもこの祭りをずーと続けていこう。僕も何か協力をしたい・・・・」と言った。彼らは本当に僕らができなかったことを確実に実現した。こころからの拍手を贈りたいと思う。数年前に僕をこの会の名誉会員として迎えてくれたが、この日「宇佐八幡宮」と文字の入った特製の半被をプレゼントしてくれた。とてもうれしかった。実は今日は寒いのでその半被を羽織ながらこのブログを書いているのである。故郷の後輩たちに、こころからの感謝をしながら・・・・・・・。

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