写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.163] 2010年5月24日 第7回飯田市藤本四八写真文化賞受賞者は、日本の美と文化を追い続けた写真家・井上博道さんに。

去る5月20日、東京銀座でおこなわれた「第7回飯田市藤本四八写真文化賞」の受賞式ならび記念パーティーに出席した。先立って5月26日まで、キャノンギャラリー銀座で開催されている受賞記念展覧会を見た(なおこの展覧会は5月29日から6月13日まで飯田市美術博物館においても開催される)。今回の写真文化賞は、奈良に在住して一貫して日本の美と文化をテーマとしてきた写真家の井上博道さんが受賞した。同写真賞は、岡田勤さんの「Nature-mind-命の瞬き-」である。この賞は飯田市出身で戦後日本の写真界の発展に寄与した写真家藤本四八先生の業績を称えるとともに、日本写真芸術の未来を拓くことを目的に平成9年(1997)に飯田市が主催で始まったものである。



「環境と文化」というテーマに基づきプロ写真家として永年写真芸術活動に貢献した作家を顕彰する同写真文化賞は、2年に1度選考がおこなわれている。第1回の受賞者は、芳賀日出男氏、第2回目が不肖僕。第3回水谷章人氏、第4回三好和義氏、第5回野町和嘉氏、第6回竹内敏信氏が歴代の受賞者であり、僕を除けば堂々たる日本を代表する写真家たちである。選考委員長は藤本先生が務められていたが亡くなられてからは、田沼武能(社)日本写真家協会会長が務めている。公募の部の「写真賞」には、いままで3人の僕の写真の生徒、教え子たちが受賞しているのも少しは自慢である。



この日は井上博道さんの受賞ということで、僕はうれしかった。彼の一貫した創作活動には以前から注目していたし、入江泰吉さんや司馬遼太郎さんの影響を色濃く受けている写真家でもある。会場には奥様も出席されていて受賞をこころから歓んでいた。選考委員長の田沼氏は「仏像を撮っても、遠い過去の仏師がかれによって再誕し、刻んだときのの心まで写し出している・・・」という作家・司馬遼太郎さんの言葉引用して井上さんの仕事を絶賛した。小樽から藤本先生の長男の建築家の藤本哲哉さんもかけつけてきており、久しぶりの旧交をあたためた楽しいパーティーであった(上の真ん中の写真で芳賀さんと写っているのは「アサヒカメラ」奥田明久編集長)。

このウェブサイトの写真作品、文章などの著作権は小松健一に帰属します。無断使用は一切禁止します。