写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.152] 2010年4月25日 (協)日本写真家ユニオンの「顧問・相談役懇親会」に。そして10の写真展を梯子した春の一日・・・・・。

 


昨晩は美しい月夜であったが、今朝はようやく春らしい穏やかな陽射しのなかで目覚める事ができた。庭の4本の金木犀の若葉も生き生きと太陽に向かって伸びている。僕が20代の時に出版した歌集に『春ひそむ冬』というのがあるが、まさに今年は厳しく長い冬であった。その冬をじっと耐えて、いま小さな庭の木々も街路樹たちもいっせいに芽吹きはじめる季節なのだ。こういう風景のなかに身を静かに置いているだけでも、こころが洗われる思いがするのである。



昨日は(協)日本写真家ユニオンの顧問・相談役の「謝恩懇親会」というのが、新宿の土佐料理の店でおこなわれた。相談役を引き受けてからこの2年間で初めてのことなどで出かけたのだ。相談役は、前理事長の丹野章さんと僕。顧問には細江英公、岡井耀毅、水越武、石川文洋、白旗史朗、児島昭雄、藤本俊一、三本和彦の8氏がなっている。皆多忙の人たちであり、昼間ということもあって、残念ながら出席者は少なかったが、宮崎から芥川理事長をはじめ、あがた副理事長、若生専務理事、多くの理事、そして監事が参加した。僕もユニオン誕生までの経緯、その意義と役割、日本写真家協会との関係など新しい理事が多かったので語った。副都心の高層ビルの50階にあるこの店は、いまの龍馬ブームにあやかってか、昼時から流行っていた。



懇親会が終わってからは、新宿、銀座、六本木と10会場の写真展の梯子をして見た。しかし、あまり感心できるものはなかった。その中で銀座二コンサロンで27日まで開催している安島太佳由写真展「時代瞑りー太平洋戦争 激戦の島々ー」が胸を打たれた。この3年間でガダルカナル、レイテ、サイパンなど19の島々を取材しての力作である。決して派手さはないが、こうした作品がもっと脚光を浴びるべきだと強く思った。そして安島の写真家としての気概に心からの拍手を送りたい。最後は六本木の富士フイルムフォトサロンで29日まで開催している森田雅章の「夢幻」へ行った。森田君とはかれこれ30年以上前からの知り合いで、僕としては今回の様な幻想的な花の写真展よりも、彼本来のドキュメンタリーの作品を評価している。近年取材を続けているバングラデシュの作品は特に良い。昨年初めて見せられて感動し、直ぐに雑誌の「デイズジャパン」に紹介をしたものである。写真研究会「風」の同人たちも合流して夜はささやかではあるが、森田君を囲んで祝いの宴を張った。しかしそこでも延々と写真論議が深夜までくり返されたのであった。疲れたぜよ・・・・・。

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