写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

[no.140] 2010年3月24日 椎名誠写真展、高橋芳宣作陶展、そして渡辺一枝写真展を巡って考えたこと・・・・。

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今日は菜種梅雨、花冷えの一日になりそうな日だ。昨日、10日ぶりに都内に出てみた。友人たちの展覧会を巡るためである。午後1時に、写真研究会「風」同人の鈴木紀夫さんと待ち合わせて、まず向かったのは、椎名誠写真展「五つの旅の物語ープラス1」が開かれている品川・キャノンギャラリーSだ。旅のなかの記憶、出会った風景などをモノトーンの写真とエッセイで表現した”椎名ワールド”の写真展は、こころに響くものがあった。今年の1月に撮影したという津軽・冬海の旅の作品が僕は好きだ。椎名さんに会えなくて残念だったが、『海を見にいく』という最新刊の本を一冊求めてきた。


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次に行ったのは新宿の伊勢丹本店で開催されている「第11回 高橋芳宣 作陶展」だ。陶芸家の友人なかでも、同世代ということもあって彼とは長い付き合いだ。10数年前に「上州」をキワードに僕の写真と彼の焼き物で2人展をしたこともある。最終日だったので本人もいて久しぶりに話がはずんだ。1年ぶりに見る彼の新作は、かたち、絵付けともにまた進化していると思った。ここで「風」同人の塩崎亨君も合流した。4人でダージリンティーなどをご馳走になりながら、「この夏、一緒に中国へ行こう!」と話しが盛り上がった。


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そして最後は神楽坂のセッションハウスで開かれている「渡辺一枝写真展ーチベットのはなしをしょう」へ行った。一枝さんは、言わずと知れた椎名誠さんの奥さんであるが、作家としても写真家としても有名である。僕は彼女の写真展はそのほとんどを観ている。この日も、日本写真家協会副会長の熊切圭介さんがちょうど会場にいたし、入れ違いに写真家で、映画監督でもある本橋成一さんが帰ったばかりであった。彼女の写真には、本来写真家がすべき、本質が写っているのだ。ジャーナリスティクな眼といおうか、少し大げさに言えば、大義がある。そこに胸打たれれるのである。いま流行の「私写真」などという自己満足の代物ではないのだ。2時間ほどチベットの話を伺って失礼した。明日の夜行列車で九州へ2週間の旅にでるという鈴木さんの無事を願って近くの飲み屋で乾杯をした。この店には以前よく来ていて、鶏の丸焼きが名物で旨いのだ。3人で写真談議をしながら名物をすっかり平らげた。70歳を過ぎた鈴木さんはここ5~6年、JRの青春切符という各駅停車の旅で、日本中を周って写真を撮っている。僕が彼の作品に付けたタイトルは「哀愁の青春キップの旅」。近く、個展をめざしてまとめに入ると張り切っている。

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