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2010年3月16日 早春の八ヶ岳、南アルプス、そして韮崎における宮沢賢治の心友・保阪嘉内のゆかりの地をめぐる。



めまぐるしく変化する春の気圧配置をにらみながら、14日(日)に早春の八ヶ岳を撮りに行った。八ヶ岳は長野と山梨の県境、南北20キロメートルにわたる火山群である。宮沢賢治の無二の親友だった盛岡高等農林時代の「アザリア」同人である保阪嘉内の故郷が山梨県の韮崎なのである。嘉内はこの故郷から見る八ヶ岳と南アルプスを生涯愛した。岩手県花巻生まれの賢治ににも何度も、故郷の山々のことを自慢して話している。この日、自宅を早朝出発して新宿発の「あずさ」7号に乗り込んだ。今回も担当編集者のTさんが同行してくれた。彼女は、なんでもてきぱきとこなしてくれるので、僕にとっては大変ありがたい存在なのだ。甲府駅で下車し、武田信玄公の大きな銅像に出迎えられた。彼女の母方のご先祖様も、僕の母方の先祖も同じ武田家家臣の真田昌幸の家来だったのでまずは信玄公へあいさつをした。駅前のレンタカーを駆っていざ、甲州の地に出発!!


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数日前の春のドカ雪で、まだ日陰には雪が残っているが、この2~3日の4月下旬を思わせる”バカ陽気”のおかげで道路はすっかり乾燥していた。南アルプスの山々は、急な温度の上昇で春霞がかかっているように、すっきりとはその山容をみせてはくれなかったが、八ヶ岳連峰は、主峰の赤岳(2899m)をはじめ白い峰峰を早春の蒼空に突き立てていた。標高1000メートルを超える登山道入り口まで登ってみたが、さすがにここまで来ると雪は深かった。明野という高原の村で地元でとれた野菜料理などで遅い昼食をした後、韮崎の町に戻った。


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まず、昨年秋にも参った嘉内が生まれた藤井平が一望できる保阪家の墓地へ行った。入り口には嘉内と賢治の短歌が刻まれた碑が門柱のように建立されている。その後、保阪家が代々氏子総代を務めている当麻戸神社や保阪嘉内生家跡の「古屋敷」などゆかりの地を巡ってみた。嘉内の息子さんの庸夫さんは残念ながらお留守でお会いできなかった。嘉内が通った藤井尋常小学校の跡地には、賢治と嘉内の友情を表現した「花園農村の碑」が建っている。そこには嘉内が書いた歌稿「文象花崗岩」から抜粋した次のような一文が刻まれている。「・・・ああ諸君、田園都市を作らしめよ 模範農村を作らしめよ そしてわが幸ある天地の神に感謝をささげしめよ・・・・・」嘉内の故郷への思い、農民への深い思いが伝わってくる。(写真は2点とも中国・四川省で)





四川省の2点以外は、上から八ヶ岳、南アルプス、高原野菜弁当、甲府の信玄像

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