写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

2010年2月9日 高橋錦吉、小椋久太郎、麓惣介、佐藤英太郎らの作品に囲まれて飲む珈琲は至極のひととき・・・・・。

今朝、見知らぬ人から「どうかしましたか。ブログ楽しみです」というメールをいただいた。どなたかわからないがありがたい方である。僕のブログを楽しみにしていてくれているとのこと。こういう人がいるからがんばれるのだとつくづくと思う。実は2月5日以来、更新していなかったのは、愛用のデジタルカメラのシグマDP1が「上州故里」の撮影中に調子が悪くなって修理に出していたからである。すぐにシグマは対応してくれて7日には代替のカメラは届いていたのだが、僕がサボっていたのだ。ごめんなさい。さっそく、その代用カメラで撮ってみてブログをアップすることにしたのだ。「コマケン写真日記・blog」を開始して9ヶ月間になるが、この間アクセスしていただいた人は約6500人。月平均720~30人である。これがどういう数字なのかは僕にはよくわからないが、とにかくコツコツと持続させようと思っている。今日のメールのような人がいる限り、書き続けていく。


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今日の写真の2点は僕の仕事部屋といおうか、仕事デスクの右側と左側である。自分の作品などは1点も家には飾ってはいないが、気に入った絵画や書、版画、こけしなどはやたらと周りに置きたいのだ。珈琲を飲み、音楽を聴きながらボーッと眺めているとこころが何故か落ち着いてくるのである。右側(上の写真)に置いてあるのは、日本現代グラフィクデザインの先駆けである高橋錦吉(1911~1980)さんの生涯一度きりの展覧会の出品作品。漢詩をレタリングしたものだが、この漢詩が好きだ。高橋さんとは生前に何度かご一緒したことがある。戦前に日本工房や「FRONT」に参加し、戦後は雑誌「美術手帳」、「世界」などの表紙を手がけレタリングの名手として知られている。函館や釧路にある本郷新・作の石川啄木像の碑文の文字も高橋さんである。それに英文学者で詩人であり、画家でもあった麓惣介(1920~2002)の版画が2点。もうひとつは、現在も活躍中の画家・美崎太洋さんの沖縄舞踊の版画だ。


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左側(上の写真)のこけしは、秋田・木地山系こけしの名工といわれた小椋久太郎(1906~1998)の3体。数年前に秋田県湯沢市の泥湯温泉に行ったときに偶然に手に入れたものだ。昭和40年頃の冬、僕の写真の師の一人である土門拳が箱ぞりに乗せられてこの木地山を訪ね「世界」のグラビアの撮影をしている。その時の印象を後に、久太郎は「ずいぶんと気難しい人・・・・」と回想している。不思議な縁である。それに友人の宮城・遠刈田系の佐藤英太郎さんと洋子夫人の作品だ。もう20数年前のこと新宿小田急デパートで大きな展覧会をした時に買い求めた。夫婦して内閣総理大臣賞と経済通産大臣賞を受賞した頃だったと記憶している。それに上州の親友の福島汪江さんの現代こけし。彼女は日本近代こけしアカデミー唯一の女流作家である。ときどき気が向くと違う作品と替えることもあるが、とにかくこころを癒してくれるすばらしき”仲間”たちであることは確かである。

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