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2010年2月5日 「ぐんま山村フォトコンテスト」表彰式、伊香保温泉・黄金の湯、八ッ場ダム建設現場の光景・・・・。

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平成21年度「ぐんまの山村フォトコンテスト」の表彰式が2月3日、群馬県庁1階県民ホールでおこなわれた。”自然と暮らし”をテーマに、上州の山村の自然や文化の魅力を広く発信しょうというこのコンテストは今回で4度目。回を重ねるごとに応募者数、応募作品数とも増え、今回は320点を超えて、内容も格段と良くなっている。審査委員長である僕も参加して講評をし、表彰式に参加した入賞・入選者の作品について、一人ひとりアドバイスをした。佳作作品もふくめた約50点が展示されて見ごたえのある写真展となっていた(2月7日まで)。後日、東京・銀座にある「ぐんまの家」でも展示される予定だ。(上記3点の写真撮影:鈴木紀夫氏)


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「ノイエス朝日」でコーヒーをごちそうになってから、”日本三大うどん”の里として知られる水沢寺の前を通って伊香保温泉へと向かった。数日前に降った雪がまだところどころに残っていて、日陰の路面は凍結しており運転は大変だった。伊香保の常宿は「金太夫」という老舗旅館である。僕のすぐしたの弟がここの料理長をしていることもあり、よく使わせてもらっている。毎年この表彰式のあとは必ず金太夫に泊まるのが恒例になっているのだ。伊香保は言うまでもない全国的に知られた由緒ある名湯である。幾多の文人たちがこの温泉町を愛したが、作家の林芙美子も金太夫に投宿しており、その代表作『浮雲』のなかに次のような一節を残している。「・・・伊香保は坂の多い温泉町でその坂は路地ほどの狭さだ。湯の花の匂いがむっと鼻をにくる。ところが不如帰で有名な伊香保というところが、案外素朴で、いかにもロマンチックだった。・・・」また、彼女は旅の随想にも金太夫のことを書いている。


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この宿のいいところは、「黄金の湯」という茶褐色の湯と「白銀の湯」という無色透明の湯の2種類の源泉の湯に浸かることができることである。僕はもっぱら昔から親しまれてきた黄金の湯が好きだ。冬晴れとなった翌日は写真研究会「風」、「写真集団・上福岡」のメンバーと今、注目されている「八ッ場ダム」建設工事がおこなわれている現地、河原湯温泉へ行った。この間、何度も「上州故里」の取材にきているが、この光景はしっかりと記録しておかねばという思いから今回も来たのである。民主党政権になってから一応本体工事は止まってはいるが、昨年来た時よりも関東耶馬渓の美しい景観は、ずい分と破壊されていた。僕は地元に関わりのあるひとりとして、故郷の自然と人々の暮らしが壊されていくのがやはり許せないという思いでシャッターを切っている。その晩は久しぶりにおふくろを囲んで3兄弟が勢ぞろいして、秋田の男鹿半島から送られてきた鱈の鍋、刺身、生白子の料理などをご馳走になった。何年かぶりにおふくろさんの歌を聞き、末の弟の家で母とやはり何年かぶりに布団を並べて寝たのである。


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