写真家 小松健一・オフィシャルサイト / Photographer Kenichi - Komatsu Official Website

2009年10月8日 土佐・倉敷・瀬戸内の旅 写真日記ー5日目

台風18号の影響で西土佐の沿岸はすごい高波が押し寄せているので、撮影に行こうと奈路さんに朝早くからたたき起こされて出発した。途中、彼の土佐湾の写真を参考にして和紙ちぎり絵の展覧会を「いの町紙の博物館」で、開催しているというので寄ることにした。いの町は土佐和紙の町として広く知られている。文献によれば927年に後醍醐天皇の頃、「延喜式献上品」として「奉書紙・杉原紙」を献納した史実があり、千年前の昔からこの地で製造されていたことになる。また、「土佐日記」で知られる紀貫之も土佐の国司として製紙業を奨励している。ここへ来るたびに土佐和紙の葉書や一筆書きを買うが、この日も葉書を30枚ほど求めた。


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その足で、窪川町へ向かった。途中見た海は、台風一過などはなかったような凪いだ海であった。青空に白い雲が浮かぶ土佐の海の光景は、蕪村の句が思わず口ずさみたくなるような風景である。窪川という小さな町には、純喫茶が33軒あるという。総じて土佐は喫茶店が多い土地ではあるが、この町は特に目立つ。20年以上前から通っている「田園」という純喫茶もすぐ前や近くにも喫茶店があるが互いに潰れないのだ。客の棲み分けができているらしい。午後2時頃なのにお客は引切り無しだ。山栗の蒸かしたのやらぶどうやらお菓子やら持ち寄って、美味しいコーヒーを一杯飲みながら隣近所なお年寄りたちが世間話をしているのだ。毎日来る常連客ばかりだそうだ。40年間やっている友達のTさんは、ボランティア精神もあるのだろう。隣ではご主人が手作りのパン屋さんをやっている。彼女は写真家・奈路さんの大の理解者である。黒潮鉄道・土讃線の特急「南風」で高知へ出て、夜は県展の前夜祭へ出かけた。何と670人もの写真家、作家たちが押し寄せて大変な騒ぎであった。審査員が来るのは珍しいらしく取り囲まれて、サインを求められるは、各自の作品批評をやらされるは、すごい熱気で「いごっそう」と「はちきん」は、やはりすごいなあ~とまたまた感心するばかりであった。


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