一週間ぶりに自宅に戻り、家の窓を開け放つと庭の4本の金木犀の花の香りがいっせいに部屋に充満してきた。強大な勢力を持った台風18号が襲来しているさなかの7日間の日々が走馬灯のように思い浮かんできた。幾つかの写真とともに記しておこうと思う。
高知竜馬空港に着陸したのは、もうすっかり日は傾いた頃であった。空港から高知市内に入るまでの辺り一面は黄金色に輝く穂で、南国土佐も秋の気配を漂わせていた。土佐滞在中はお世話になるホテル日航高知旭ロイヤルに荷をおろして一休みしてから、第63回高知県美術展覧会審査員会が開かれる得月楼へと向かった。玄関には高知新聞社の常務さんらが出迎えに出ていてくれて恐縮した。主催者側は、社長、常務、事業企画部長さんら、審査員は僕と、日本画、書道の県外からの審査員4人。得月楼は明治3年創業の老舗料亭、多くの文人墨客や自由民権運動家たちが来客しているとともに、宮尾登美子著の『陽暉楼』の舞台としても知られている。土佐の初日から山海の幸を豪快に盛った土佐名物、皿鉢料理をご馳走になった。